行動経済学とは
行動経済学(behavioral economics)とは、経済学と心理学が融合した学問です。
従来の経済学では「人は合理的な行動をする」という前提で研究が進められてきました。
つまり、人間は、「客観的、合理的に考えて常に最大限の利益を追求するように行動し」、「一度決めたことは実行する」ということからスタートしていろんな研究が行われてきたということです。

「人間は、客観的、合理的に考えて常に最大限の利益を追求する」と聞くと、いかにもそのように感じるかと思いますが、現実は、必ずしも合理的な判断をするとは限らないということが、行動経済学という学問の中で明らかになってきています。
人には「何となく」とか「理解しているが、実践できない」などのいろんな感情や先入観があり、客観的に見ると不合理と思える行動をとることがあります。
たとえば、毎月の給料の中の1万円と、ボーナスの1万円と、予測していなかった臨時収入の1万円、金額的(理論的な価値)にはどれも同じですが、衝動買いしやすくなるのは臨時収入ではないでしょうか。

いままでの経済学は同じ1万円なら同じ感覚で同じ行動を起こすということが基本になっていたわけですが、行動経済学は「状況によって人は合理的ではない判断をする」ことを前提にその理由や理論を研究するのです。
行動経済学は、心理学者のダニエル・カーネマンなどが提唱しましたが、一般的に有名になったのはダン アリエリー(Dan Ariely)の著書「予想通りに不合理」以降、日本でも生命保険会社のCMなどで見かけるようになりました。
行動経済学は経済学をベースにした新しい学問ですが、人間の心理や感情も研究の対象となります。
そのため、認知心理学、社会心理学、進化心理学などの他の心理学からも多くの影響を受けています。
また活用分野も広く、マーケティングの世界では当たり前のように利用されています。
逆に言うと、消費者側は企業から発信される情報をしっかりと判断し、「不合理な」判断で誤った消費活動を行うことのないように気を付ける必要があります。
物を売る側、買う側、どちらにとっても、今後大事な学問ではないかと思います。