行動経済学入門その4
「サンクコスト」
2022年8月22日
今回のトピックも日常生活にあてはめやすい身近な話題です。人間にはこういう心理効果や傾向(バイアス)があるんだということを意識するだけで将来の行動が変わります。知っておいて損のない用語かと思います。
「サンクコストとは」
「サンクコスト」とは「埋没費用」ともいい、過去に投資したもののすでに回収不可能であり、さらに投資を続けることは損失につながることが明らかな費用のことを指します。
「サンクコスト効果」という用語で使われる場合は、サンクコストが発生しているにも関わらず、何かを行ったり、継続したりする心理効果のことを指します。
「コンコルドの誤謬」
サンクコストの話題で世界的に一番有名なものは「コンコルドの誤謬(ごびゅう)」というものです。
誤謬って、あまり聞きなれない言葉ですが、「あやまち」のことです。
コンコルド(フランス語: Concorde)は、英仏が共同開発した超音速旅客機の名称で、1969年に試験飛行として初飛行後、1970年にマッハ2を超す速度を記録し、1976年に運用が開始ました。

当時はその独特な機体等から話題になりましたが、高過ぎる開発費や維持費、燃費の悪さ、凄まじい騒音等の様々な問題から受注が伸びず、航空会社に違約金を払いプロジェクトを終了した方が安くすむという試算にもかかわらず、既に投入した予算や時間が莫大であったことなどから、プロジェクトを中止できず、商業的、経済的に巨大な損失を残す結果で終わってしまいました。
このように中止するチャンスがあったにもかかわらず、そこまでに費やした費用や時間、労力にフォーカスすることで将来にたいして誤った判断をしてしまったわけです。
「ここまで来たんだから」「これだけやったんだから」という気持ちは、非常に大事にしないといけないのですが、将来的な損失やダメージが確実に大きくなるなら、状況を考えて冷静に判断することも大切でしょう。
気を付けておきたいこと
「サンクコスト」の考え方は、日常生活でも有用です。
・せっかくここまで来たんだから「何か買ってかえらないと!」
・(ギャンブルで)ここまでつぎ込んだんだから今日は絶対勝ってかえるぞー!
などなど・・・・
特にビジネスの中では、「過去に埋没した回収不能なコストは、次の行動を決断するうえで重要ではない」のが基本です。
是非「サンクコスト」という用語、覚えておいてください。