行動経済学入門その3
2022年8月21日公開
「現状維持バイアスとは」
選択肢にメリットとデメリットが共に存在するとき、リスクや失敗にフォーカスしてしまい、非合理的な選択をすることを現状維持バイアスといいます。
人は、客観的に見て合理的・有益であったとしても、知らないものや経験したことのないものを受け入れることにはストレスを感じ、合理的な判断・選択ができないことがあります。
いわゆる「一歩踏み出せない、新しいことにチャレンジすることができない」状態になりがち(バイアス)というものです。
具体例は
・転居すればもっと環境がよくなる気はするが、なかなか引っ越しできない。
・外食ではいつも同じものを頼んでしまう
・周りの人にいろいろ進められるが、現状でできるかぎりやりきろうとする。
・職場、恋愛相手に苦労しているが、なかなか縁がきれない。
などなどいろんなケースがあります。
もちろんどんどん新しいことに挑戦しても成功するとはかぎらないので、「現状維持」自体は悪いことではないと思います。
ここで取り上げているのは、過度に失敗を恐れて「合理的な判断ができない」状態になってしまうことです。

なぜ起こるのか
これは人間の本能的なものといわれています。
人間が狩猟民族であったころ、
A:住処を離れて外へでて「狩りをしに行かなければ食料がない(生きていけない)」
B:外へでていくことは「襲われる」危険がある
という選択の中の生活の記憶に由来するのだといわれることがあります。

ポイントは・・・!
「ディズニーランドはいつまでも未完成である。
ウォルトディズニー
現状維持では後退するばかりである。」
世の中、お客様、すべてが変わっていく中にあって、新しいことに何も取り組まない、旧態依然と変わらず、現状を維持することは「衰退」を意味する。ビジネスの世界では、現状維持は「衰退をしているのと同じ」ともいわれます。
年齢を重ねるだけで、去年と一緒っていうのも味気ないですからね。
前回の「損失回避」の記事でも述べましたが、損失を過大評価せず、正しい情報を選択する目を養うことは非常に大事かと思います。